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皆さんの健康と医療

平成20年9月号「健康食品による健康被害」(全2ページ)

ウコンで肝臓病が治った 中国自然食品で驚異のダイエット アガリスクで免疫力アップ(2ページ目)

健康食品は生活習慣病やがんなどの病気の治療に効果はありません
●白いんげん豆

平成18年5月テレビ健康情報番組で紹介された「白いんげん豆ダイエット」を試した多くの視聴者が嘔吐、下痢などの消化器症状を起こし、被害総数965件、104名が入院という事態となりました。

不十分な加熱調理により残ったいんげん生豆に含まれるレクチンなどの成分が胃腸粘膜の炎症を引き起こしたといわれています。

●プロポリス

プロポリスも副作用報告が多い健康食品のようです。プロポリスはミツバチが殺菌、修理、防御するため植物の樹腋と唾液などの分泌物を混ぜた蜂ヤニです。「がんに効く」「抗菌作用がある」などの論文も多く、基礎的な実験ではその作用は認められています。

しかし副作用についての報告も多く、大部分は外用で用いた際の皮膚炎ですが、中には重篤な肝障害を発症した健康被害例もあります。

●にがり

にがりは海水から塩を精製した後の残留物で、主成分は塩化マグネシウムです。本来、豆腐を作るときの凝固剤ですので飲むものではありません。「糖の吸収を遅らせる」「脂肪の吸収を抑える」などダイエット効果が宣伝されています。

マグネシウムは医薬品では下剤として使用されますが、多量のマグネシウムを摂取できるサプリメントを利用した結果、心肺停止などの重度の健康被害例も報告されています。

●コンフリー

コンフリーはヨーロッパ・西アジア原産で古くから薬草とされ、日本には明治時代に牧草として移入されました。1960年代に「長寿に効果」などと宣伝されてブームになりました。コンフリーは有毒アルカロイドを含み、海外において肝静脈閉塞症から肝硬変に至る肝毒性も多数報告され、発がん性も知られています。

厚生労働省はコンフリーを使用した錠剤、粉末など健康食品がインターネットを使って販売されていることから、製造・販売、輸入などを自粛回収する措置を行いました。

●カヴァ

カヴァはコウショウ科の常緑木本です。ポリネシアなど太平洋の島々で、根茎を磨りつぶし水やココナッツミルクを加えて作られる伝統的な飲み物です。日本では有効成分を抽出製造化して健康食品として売られています。

「不安を和らげる」「免疫を活性化する」「不眠症によい」「がんによい」などといわれますが、肝障害の報告が相次いで、その危険性が示唆されています。

●アマメシバ

栄養価のある野菜としてマレー半島やインドネシアでは食用されてきましたが、日本では痩せるための健康食品として乾燥粉末、ジュース、錠剤に加工され売られていました。

40歳代の女性は4ヶ月間摂取して、咳、息切れ、呼吸困難を自覚し入院、胸部写真で閉塞性細気管支炎と診断されました。台湾では278人の呼吸器被害が発生して10人が死亡したと報告されています。

●イチョウの葉エキス

イチョウ葉エキスは特に脳血管循環の改善効果を有するという報告があり、日本においても「頭がよくなる」「痴呆防止」などと宣伝されています。まれに軽度の胃腸障害、頭痛、皮膚炎が報告されていますが、通常の摂取量では副作用の問題はないようです。

平成14年、国民生活センターから市販のイチョウ葉エキス製品中に、アレルギーを起こす高濃度のギンコール酸があると報告されました。
また、アスピリン、ワーファリンなどと併用すると出血傾向が起きるといわれます。

健康食品を利用する前に

かかりつけ医に相談してみることが手っ取り早い方法です。遠慮は要りません。既に利用中の場合は健康食品の成分が病気を悪化させたり、服用薬の効能を変えることもありますので、体調不良を感じたらすぐ中止してかかりつけ医を受診しましょう。 ご自身の判断で現在の病気の治療を中止しては絶対にいけません。

健康食品(サプリメント)は効かない、怪しい、うさんくさいとは言いません。健康食品は上手に利用すれば、安全かつ健康増進の味方に成りえるものと考えます。
しかし、「健康食品」と宣伝されるものでも、反対に健康被害を引き起こすこともあることを忘れないでください。

参考資料
健康食品ウソ?ホント?(東京都福祉局健康安全課)、ANTI-AGING MEDICINE別冊(内藤裕史)、「健康商品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)

(神田医師会 遠藤 素夫)

皆さんの健康を祈ります。 前のページへ