平成11年11月号 子どもの食事の好き嫌いについて、小児科医の立場から
今、子どもの数が少ないため、親はどうしても子どもを過保護にしがちになり、子どもの好き嫌いにあまくなりやすい。
普段幼児期に家庭で食べさせて貰っていない料理あるいは食品は給食でも食べられないことになりやすい。
日本体育・学校健康センターの平成7年度児童生徒の食生活等実態調査結果報告書によると子ども達の好きな料理と嫌いな料理の夫婦のトップ10は表1のようである。
子ども達の好きな料理
子ども達の嫌いな料理
半数近くの子どもが好きな料理にカレーライスを挙げているのは家庭でもよくでる料理だからであろう。カレーライスにハンバーグ、スパゲッティを加えて学校給食のみならず家庭食事でも“3種の神器”といわれているが、インスタントラーメンあるいはカップラーメンの普及に伴いラーメンの人気も高い。
その他ステーキ、グラタン、シチユーなど洋風の料理が好まれているのは子ども達の血液コレステロール値を高くしている原因となっているものであろう。
また地域によっては鮨がトップになっているが、これは回転鮨が人気のためかもしれない。
一方、嫌いな料理としては表1にあるように野菜料理と魚料理が苦手である。といっても嫌いと答えたパーセントの数字が好きと答えたそれよりもずっと少ないのでまだ救われるようにも思えるが、実際には野菜と魚料理には食べ残しが多いのが問題である。
学校で給食を全部食べると答えた者は38%しかないが残した理由については、量が多い、時間がない、おいしくないというのが多く、嫌いだからという理由だけではない。
嫌いな食品についてみると野菜類を挙げた者が多く、2位の魚類の4.6倍となった。
個々の食品についてみると表2のようである。ピーマンがトップで1/4の子どもが嫌いな食品に挙げている。野菜類以外でトップ10に入っているのはレバーときのこ類だけである。
子ども達の食事の好き嫌いは幼児期に形成されることが多い。
子どもの離乳が終わったからと手抜きした食事を与えていると好みが強くなって偏食にもなり、栄養のバランスも悪くなりやすい。
幼児期の食事をもっと大切にしたいものである。