労働安全衛生法といういかめしい名前の法律があって、ある規模以上の事業者は、使用者に対する健康管理の一環として、定められた項目について定期健康診断をしなければなりません。この費用も軽視できませんが、企業によってはそれに加えて、便検査、胃のX線あるいは内視鏡検査、婦人科健診、乳癌検診、腫瘍マーカー、果ては脳ドックまで入れるところもあるようです。この様な企業は業績好調で同慶の至りです。また個人的に毎年人間ドックを受けられている方もいます。
これらの検査はスクリーニングといって身体に異常が「有りそうか、無さそうか」の振り分け検査ですから、目が粗い場合があって、ここをすり抜ける病気が無いとは限りません。後で見ると見逃しか、見逃しでないか微妙な病気も有ることはあります。
そうすると、検診ないし健康診断について必然的に2つの考え方が出てきます。
先ずは(1) 健康診断をやっていても、高脂血症、血圧高め、尿酸高め、血糖高め、肥満、等々と毎年いわれて、産業医の面接を受けて飽き飽きしている。健康診断は会社で言われて、仕方なく受けている。その上見逃しもあり得ると聞いている。それでは全く意味がないという考え方。
もう一つは(2) 身体がたいへん心配であるので、腫瘍マーカー、脳ドック、PET等のテレビや新聞で見た検査は全て受けないと心配だとする考え方です。その結果小さな脳梗塞の痕跡が有ると言われて、心配でアスピリンを服用している、という方もいます。
どちらも考え物ですが、問題は検診や健康診断を受けた後にあります。