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平成15年9月号 紙おむつとコンピュータゲーム 精神分析的・脳波学的にみた時代のゆがみ (全2ページ)

平成15年9月号 紙おむつとコンピュータゲーム精神分析的・脳波学的にみた時代のゆがみ (1ページ目)

ここ数年、青少年の非行・犯罪が大きな社会的ニュースとなって注目されています。
その原因は教育や社会・家族関係など様々な観点から語られていますが、どれか一つで全てのことを説明できるわけではありません。
今回は、精神分析学と脳波学という、ちょっと変わった観点から、この問題をみてみたいと思います。

精神分析的な子どもの発達

精神分析学は20世紀はじめにフロイトによって確立されました。彼の偉大な業績のひとつに精神の発達段階について述べたものがあります。
人間は乳幼児期に口唇期、肛門期そして男根期を経験し発達してゆくというものです。

口唇期とは、授乳という行為から満足感と母親に対する信頼感を得る時期です。
定期的な授乳をつづけるうちに子どもはおなかがすくと泣くようになります。泣くことでおなかがすいたという事を知らせるのです。すると母親がやってきて乳房を口に含ませてくれます。母乳を飲み空腹をみたす、この行為がくり返される事によって、子どもは母親という存在を空腹を満たしてくれるだけでなく、満足を与えてくれる信頼できる自分以外の対象として初めて認識するのです。
これは将来の人生においても他人に対する信頼感や人を愛するという能力につながります。

次が肛門期です。排泄の話です。赤ちゃんが便をします。排泄は快感を伴う行為なのですが、その後便がお尻にくっついて、とても不快な感じがやってきます。赤ちゃんは不快になるので泣きます。すると母親がきて、優しい言葉をかけながら新しいおむつと交換してくれ、またスッキリした気持ちになれるのです。
排泄の快感、その後の不快感、そしてまたしてもそれを救ってくれる母親。この過程で子どもは母親への信頼感をより強くするとともに便の排泄を保持(がまん)するという事を学ぶのです。

次に男根期です。男の子は自分にペニスがある事に気づき、父親と同じだと認識します。
この時期には自分を愛してくれる母親を一人じめしようと父親をライバル視します。
しかし自分より強く大きな父親にはかないません。子供は一種の敗北感とともに、男性としての目標として父親をみるようになります。

女の子の場合はどうでしょう。ペニスを持つ異性としての父親に好かれようとするのです。
そこで母親との間に父親争奪戦がくりひろげられ、男の子の場合と同じように敗れ、やがて女性の目標として母親を見るようになります。

それでは、これらの時期につまづくとどんな事がおこるでしょうか。
信頼と満足を獲得する口唇期につまづくと他人を信頼したり愛する能力に問題が起こります。すると自分のことしか愛せないナルシスト(自己愛)になってしまうのです。最近言われる『ジコチュウ』に近いですね。

肛門期はどうでしょう。母親との間の安全保障関係が成立できなかった人は攻撃性、衝動性、敵意がつよくなりがちです。
また(便の)保持が強く出る人はしまり屋さんで細かい人になるかもしれません。

男根期はどうでしょう。自分の父親を殺し実の母と結婚したオイディップスの悲劇(エディプスコンプレックス)に象徴されるような、男性、女性としての同一性(自我の確立)に影響が出るかもしれません。

さて、今回のテーマのひとつ『紙おむつ』は最近の少子化社会の育児を象徴するものとしてあげたものです。
核家族化が進み女性が社会に進出する時代になって、あまり育児に手間がかけられません。母乳より人工栄養が増えてきています。
また昭和60年頃から紙おむつが進歩し、育児負担がかなり軽くなりました。おむつかぶれもなくなって悪い事はひとつもないようです。
でも、ちょっと考えて下さい。排便後の不快感が殆どないという事は、赤ちゃんにとっておむつを取りかえる母親の行為もそれほどうれしい事には感じられないのです。
困った状態を救ってくれるのが母親です。そこで信頼関係や人を愛する事、愛する母親のために、がまんすることを身につけてゆくのですが、紙おむつに代表される最近の育児では赤ちゃんに『困った事態』があまりおこらないようです。
その結果、赤ちゃんは信頼できる対象、愛する対象としての他者をもてない、自己中心的で衝動的で攻撃性をがまんできない、「男らしさ」「女らしさ」にどこか問題がある・・・、そういう人間像に近づく可能性がないとはいえません。

皆さんの健康を祈ります。 次のページへ 前のページへ